領家変成帯 

 

(りょうけへんせいたい)

【自然】

日本列島の西南部(西南日本)の地帯構造を、北側(内帯)と南側(外帯)に分ける大断層が中央構造線である。この断層に接して、その北側を帯状に延びる地帯が領家帯で、変成岩も露出しているので、領家変成帯とも呼ばれる。変成帯は変成岩が露出する区域のこと。変成岩とは、地表付近の地層や岩石が、その場所で、あるいは地下深くに押し込められ、高温または高圧の環境で、融けることなく、今ある鉱物が消えて新しい鉱物ができたり、鉱物の配列状態が変わったりする変成作用を経て生まれた岩石である。高温・高圧のうち、高温の影響が大きい変成岩が片麻岩、高圧の影響が大きいのが結晶片岩と呼ばれている。日本海拡大の前、日本がユーラシア大陸の東縁にあった頃、太平洋のプレート(イザナギプレート)がユーラシア大陸に衝突し、その下に潜り込んでいた。この時、海洋プレート上の海底堆積物(中生代トリアス紀後期~白亜紀初期)は剥ぎ取られ、押し付けられながらユーラシア大陸の一部となった。このような現象を付加といい、白亜紀の前期に起こった。付加された海底堆積物の時代は、中生代のトリアス紀後期~ジュラ紀~白亜紀初期である。この付加された海底堆積物が、ジュラ紀付加体と呼ばれる西南日本の基盤岩類である。その後、ジュラ紀付加体の部分に地下から領家帯の花崗岩マグマが貫入し、表層部の岩石がマグマの熱で焼かれて(接触変成)、高温環境下で片麻岩と呼ばれる変成岩になった(白亜紀前期)。この片麻岩(領家片麻岩)が露出している帯状の地帯が領家変成帯で市域はここに含まれている。この変成帯では貫入した花崗岩類(領家花崗岩類)も広く各所に露出している。領家(変成)帯の北側は美濃帯と呼ばれ、ここは接触変成をこうむらなかった非変成のジュラ紀付加体の岩石から構成されている。領家変成帯の南は、中央構造線をはさんで三波川変成帯と呼ばれる。ここには高圧の影響下でできた三波川結晶片岩が露出している。

『新修豊田市史』関係箇所:23巻12ページ

→ 瀬戸陶土層中央構造線領家花崗岩類