(れいきこ)
【自然】
晴れた静穏の日の夜間から早朝にかけ、地表面の放射冷却により地表面付近の空気が冷やされ、その冷気が盆地底、谷底部、凹地などに停滞した状態。その原因としては、盆地底での放射冷却によるものと、周辺山地からの冷気の流入(斜面下降風)によるものとが考えられる。斜面下降風は、放射冷却によって冷やされた山の斜面上の重い空気が、高度の低い盆地底に向けて下る現象のことである。特に、河谷地形の我が国では、急峻な斜面に沿って冷気が流れ出し、谷底や盆地底に停滞して晴れた早朝には冷気湖が形成されることが多い。具体的には、岐阜県高山盆地の朝霧や三重県上野盆地の霧がその例である。冷気湖内では気温の接地逆転現象がみられ、高度が低いほど低温である。このため、盆地底では秋から春にかけて霧がよく発生する。冷気湖の上方の斜面には、斜面温暖帯が形成され、桜の開花や秋の紅葉時の景観、およびミカンや茶などの栽培高原と密接な関係を持っている。
『新修豊田市史』関係箇所:23巻106・151・158ページ
→ 冷気流