蓮如絵伝

 

(れんにょえでん)

【古代・中世】

本願寺蓮如の生涯を絵画に描いてたどった大幅の掛軸。4幅本が多いように見受けられるが、その他の場合も少なくない。形態的には親鸞絵伝と同様であるが、異なるのは蓮如絵伝の場合、本山許可物ではなく、江戸時代以降に蓮如ゆかりの寺院や地域で独自に制作され、所蔵・活用されるものということである。そのため、内容も蓮如の生涯である以上、ある程度の流れは共通するものの、各所に独自性を持つことが多い。内容の確定ができない場面が描かれていることも少なからずある。絵師もまた地元色が強く、画法や技量もさまざまである。三河地域は北陸と並び、蓮如への親しみが深く、蓮如信仰が盛んである。それを背景として蓮如絵伝の制作件数はおそらく全国一である。蓮如絵伝は蓮如忌(命日である3月25日等に行われる法要)などで掛けられ、かつては多くの場合、絵解きがなされたとみられる。絵解き台本があれば、それはまた絵伝の内容を知る上で重要な文献史料となる。

→ 浄土真宗の絵画