(ろくにんごや)
【民俗】〈諸職〉
山の怪異伝承のひとつ。山の神は12人の子を産むとされ、12人で山小屋に泊まることを忌む習俗は一般的であるが、「山仕事での山小屋には6人で泊まるものではない」という禁忌が綾渡(足助地区)に伝えられていた。伝説の場所の「六人小屋」は、寧比曽岳と出来山との間の尾根筋を桑平(北設楽郡設楽町)方面に少し下りたところにあった。その昔、庄屋(山仕事の監督)と6人の木樵が山仕事を終え、山小屋に泊まっていると、夜半過ぎに道に迷ったという若い娘がやってきたので泊めてやった。庄屋はこの娘を怪しんで眠らずにいたが、つい寝入ってしまい、気が付くと尾の生えた娘が木樵の一人に食いついていた。庄屋がヨキ(斧)を投げ付けると娘は逃げ出したが、6人の木樵はのどを食い破られて死んでいた。このため、山小屋に6人で泊まるなという禁忌が語られるようになったという。同様の伝承は段戸山の裏山(裏谷)にもあり、同系統のものと考えられる。〈諸職〉
『新修豊田市史』関係箇所:15巻43ページ