扇状地と水

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扇状地はその生い立ちからみて、水をとおしやすい砂利層からできていることが多い。したがって一般にどこでも地下水が豊富にあると思えるが、話はそう簡単ではない。
 扇頂部では地下水面が低く、井戸を掘ってもなかなか水を求めることが難しい。また大きな玉石などの砂利からできているため、水田を開こうとしても水持ちが悪く、開発から取り残されているところが多い。高麗川扇状地でも扇頂部が開発されたのは戦後のことである。
 扇央部から扇端部にかけては、地下水位もしだいに浅くなり地下水も求めやすくなってくる。扇端部では、地下水が湧水帯となってならぶことが多い。この湧水帯を水源にして下流に水田がつくられることは、扇状地ではごく普通のことである。
 さきに述べた「おかねが井戸」を含む上流湧水帯は、本来ならば高麗川扇状地の扇端部の湧水帯にあたるものである。しかし、この坂戸・鶴ケ島台地では、その下流にもう一つの下流湧水帯が認められる。これは一体なにを意味するのであろうか。