台地をおおうローム層

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台地をつくる洪積層については、すでに前節でも簡単にふれたように、地表から赤土、青白灰色粘土、砂礫、粘土と砂礫の互層の順で重なっている。
 台地の地表面は一般に黒土でおおわれているが、これは腐植土で最近の植生や農耕によってできたものである。その下に五―六メートルの厚さで台地を広くおおう赤土層がある。この赤土層は関東ローム層といわれるもので、もともと火山灰からできた地層である。ボーリング資料によれば、この赤土層の最下部に数センチメートルの厚さの黄白色がかった軽石層の記載がある。この軽石層は「東京軽石(浮石)層」といわれ、今から四万九、〇〇〇年ほどまえの箱根火山起源の火山噴出物である。
 この東京軽石層があることから、鶴ケ島にみられる赤土層は、関東ローム層のなかでも「武蔵野ローム層」およびそれより新しい「立川ローム層」に相当するものと考えられる。
 関東ローム層は昭和三〇年代に詳しく研究され、新しいものから順に、「立川ローム層」、「武蔵野ローム層」、「下末吉(しもすえよし)ローム層」および「多摩ローム層」に区分されている。それぞれのローム層は地質時代の異なる段丘をおおうことも知られている。すなわち、立川ローム層は「立川段丘」を含めてそれより高い段丘を、おなじように武蔵野ローム層は「武蔵野段丘」以上を、下末吉ローム層は「下末吉段丘」以上を、多摩ローム層は「多摩段丘(丘陵)」をおおうことがわかっている。したがって高い段丘ほど古い地質時代につくられたことになる。このような関係を考えると、坂戸・鶴ケ島台地は武蔵野段丘に相当することが予想される。