鉄、マンガンが含まれる〝くされ礫〟層

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鶴ケ島周辺のボーリングで確認されているかぎりでは、下末吉相当層、つまり金子砂礫層の下にある地層は、〝くされ礫〟を含んだ粘土交じりの砂礫層(TAg)である。〝くされ礫〟とは、礫が風化をうけて一見くさったようにみえることから名づけられたもので、中部更新統から下部更新統の砂利層にみられる。
 これらの砂礫層中には、亜炭を含むやや締まった粘土層(TAc)がはさまることがあり、入間川南岸の加治丘陵にみられる仏子(ぶし)粘土層とよく似ている。ボーリングでみられる〝くされ礫〟交じりの砂礫層は、豊岡砂礫層、仏子粘土層、飯能砂礫層などの加治丘陵をつくる一連の地層に相当するものと思われる。
 この砂礫層は、高麗川低地の地下では沖積層の直下にあるが、坂戸・鶴ケ島台地の地下では急に深度を増し、三〇メートル程度のボーリングではとどかなくなる。
 坂戸・鶴ケ島水道企業団の深井戸の多くは、この地層中に掘りこんで被圧水を水道水源としてくみ上げている。しかし粘土交じりの砂利層であるため、水の出はあまりよくない。またくみ上げた地下水中には鉄やマンガンが含まれることがあり、水道水源としてはあまり良質ではない。〝くさり礫〟を含む砂利層中の停滞性の深い地下水には、しばしばこのような水質のものがある。