関東地方の降雪は、春のきざしといわれ、真冬よりも立春過ぎが多い。熊谷の場合、月別の平均雪日数は、一二月が〇・七日、一月が二・三日、二月が三・八日、三月が二・四日、四月は五年に一度程である。冬型の気圧配置が安定している時は、大陸からの風は日本海で湿気を十分に含んで日本の山脈に当り、日本海側に大雪を降らせる。この時、水分を無くして山を越した風は、乾燥したからっ風となって関東に吹き荒れ、太平洋側は晴天が続く。この冬型が弱まり、東シナ海で発生した低気圧が日本付近を通過して初春の降水が起る時に、関東ではそれが雪となるのである。
平年の初雪は熊谷で一二月三一日頃、鶴ケ島では一月五日頃である。最終降雪記録は、県内のほとんどの地域が昭和四四年(一九六九)の四月一七日で、この時は降水量で二六・五ミリというかなりの量が記録された。平年の終雪は三月中旬であるが、熊谷より鶴ケ島の方がやや早いようである。
図1-11 最深積雪分布図(cm)(1926-1970)
『埼玉県の気候』より