地震・雷……

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恐いものの筆頭に上げられるのは地震である。日本は昔から地震の多い国で、中でも関東・中部地方は最も多い地方である。埼玉県内に震源があった有感地震は表―3のように発生しており、この間鶴ケ島が震源になったことはない。
表1-3 地震の地域別発生回数(1926-1971)
震度12345
地域
小川町・玉川村付近664171111658.6
熊谷付近132157.6
秩父付近7294.5
川越4263.0
栗橋1231.5
松山21142.0
深谷2131.5
杉戸2131.5
春日部1121.0
浦和221.0
本庄1121.0
槻川1121.0
坂戸111.0
飯能221.0
大宮221.0
その他131032613.1
『埼玉県の気候』より

 鶴ケ島は、坂戸・鶴ケ島台地という内陸部の洪積層に位置していることもあり、地震があっても大きな被害の及ぶことはない。大正一二年(一九二二)九月一日に発生した関東大地震の際にも、家屋、土蔵、物置等六棟が倒壊した程度で済んでいる。但し、新たに湿地等の埋め立てにより造成された地域では、注意の必要があろう。
 地震の次に恐れられている雷は、隣の群馬県が全国有数の発生地といわれている。年平均発生回数は、前橋が一九回、熊谷が一七回、宇都宮が二二回である。季節は夏が殆どで、熊谷では一七回のうち一五回が六月から九月に発生している。逆に日本海側の降雪地帯では、雷は夏よりも冬に多く発生する。
 埼玉県の雷は、群馬で発生し埼玉、東京へ向かうものと、秩父で発生して東京へ向かうものとがある。細かくは、本庄から熊谷、浦和へのコースと、神泉から寄居、鶴ケ島を通って入間川のコース、吉田―秩父―飯能へのコースがみられる。鶴ケ島はこのように雷の通過コースに含まれるため、雷雨の降り方も隣の坂戸市街とはかなり異なっているようである。
 雷というと雷電(稲妻)の方が恐れられているが、実害はあまりなく、むしろそれに伴う降雹による被害の方が大きい。季節は四月から七月にかけてが多く、大気の安定した八月にはあまり発生しない。
 降雹は、雹道という言葉があるように、特定の地域に限られて多く起る。本庄、深谷は毎年というほどである。鶴ケ島にも、大字中新田から高倉、三ツ木を通り太田ケ谷に抜ける雹道があるといわれる。降雹時の被害は、畑一枚の違いでも大きく異なるものである。
 鶴ケ島では、一〇年に一~二回は相当の被害を生ずる降雹がある。昭和三八年(一九六三)六月には、二九、三〇日と、連日卵大の降雹により夏作への被害を受けている。この年には、児玉町で死者九人、倒壊家屋多数という被害が出ている。また古くは、慶安二年(一六四九)に、川越で二斤(一・二キログラム)の雹で人馬多く死すとの記録がある。