春の訪れ―二月

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二月の四日頃が立春。旧暦のほぼ正月に当り、太陽の位置で日が決まる。立春の前日が節分。文字通り節の分かれる日である。この日は豆をまいて鬼を払い福を招ずるが、本来は、鬼が春(福)を運んでくるのを迎える行事であったらしい。
 関東地方の降雪はこの頃から多くなり、春の訪れを知らせる。一月来の乾燥も、降水が見られるようになる一〇日頃から解消され、一雨ごとに寒さも遠のく。霜柱も、真冬を過ぎて降水による土壌水分が高まってから、長く成長して朝日に輝くものを見ることができる。
 二月中旬には、一輪ほどの暖かさの中で梅が咲き始め、三月の半ばまで芳しい香を漂わせる。梅に付きものの鶯は、別に花見や香を楽しみに来ているのではないらしく、採餌にやってくるのであるから、声が聞かれるのは三月に入ってからである。
 二月の下旬に、年が明けて初めて吹く南の強風が春一番。これは日本海を低気圧(台湾坊主)が発達しながら通過する際、この低気圧に向かって吹き込む暖い風で、全国的に強風や雪崩やフェーン現象による思わぬ災害をまき起す。この春一番の通過で、日本付近の気圧配置が春のものとなる。ただこの強風は、関東でも全域に吹くわけではなく、埼玉県でも所沢あたりまでで止まり鶴ケ島まで辿り着かないことも多い。