七月一日(字によっては六月一日)には、家々の門口で藁や小麦の籾殻を焚く風習がある。これをケツアブリといい、坂上田村麻呂の悪龍退治伝説に因んで県の西部の地域で行なわれる。伝承では、旧暦の六月一日に大雪が降ったとされている。七日は棚機(七夕)。しかし梅雨の真最中のため、天の川や牽牛星、織女星の見える機会は少ない。
梅雨明けは、関東地方では二〇日頃となる。梅雨の末期には、前線が活発化して、これに低気圧が加わると各地に集中豪雨がもたらされる。梅雨が明けてからも、しばらくは雷の発生しやすい状態となるが、この期の雷は豊作の予兆ともいわれる。これは、雷雨で梅雨の明ける年は太平洋高気圧の勢力が強く、夏らしい夏がやってきて稲の生育によいということである。
七月二〇日頃から土用に入る。暑さは一段と厳しさを増し体力の消耗も激しくそのような中で丑の日に食するウナギは夏負けせぬようにという知恵である。
中旬には、畑作も一段落して、総耕上りと称し字中一斉に三日間程の休みをとった。下旬からは、いよいよ子供たちにも夏休みが始まる。鶴ケ島の盆は、養蚕との関係で一般に一〇日遅れの二三日盆である。