台風と秋霖―九月

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九月は防災の日に始まる。大正一二年(一九二二)のこの日に発生した地震は、死者行方不明者一四万人を越す関東大震災の原因となった。鶴ケ島での被害がこの時最小に近かったことは幸いであった。
 八月下旬から、日本に近付く台風の発生が多くなるが、特に九月の台風は日本を縦断するコースをとる上、発達して大型となり易い。立春から二一〇日目、二二〇日目が台風注意日といわれるが、実際の記録ではもう少し遅いことが多い。
 九月は、秋雨前線による秋霖も重なって、最も降水量の多い月となる(但し、鶴ケ島では六月の梅雨時の降水量の方が多く観測されている)。従って、十五夜の仲秋の名月を見られる機会は少ない。
 このように、九月は未だ秋の爽やかさには遠いが、気温は下り、食欲の秋となり、夏の食欲不振を取り返すには絶好といえる。ナシやブドウなどの果実も収穫される。花はハギの季節であるが、今日ではコスモスのイメージが強い。秋の虫は涼しげに鳴き、夏鳥が暖かい地方へ渡っていく。いろいろな意味で季節の移り変る時期といえる。
 二三日頃が、春分とともに昼夜の長さの等しい秋分。