衣更えの一〇月になっても、上旬はまだ雨模様が残る。秋晴れがやってくるのは、体育の日を過ぎた中旬からである。
秋分過ぎての一〇月と春分の三月の平均気温を比較すると、一〇月は一五・八℃、三月は六・七℃で、太陽の位置は同じでも大きな差がある。夏の間に暖められた地表が、さめ切っていないのである。それでも、下旬には、鶴ケ島でも例外的に結氷を見ることがある。平年でも、月末に初霜がおりて青く残っていた夏草のなごりも一度に枯れていく。
県の東部では九月から稲の刈り入れが始まるが、鶴ケ島など多くの地域では一〇月に収穫を終え冬作の麦が播かれる。一〇月は収穫の秋であり、安定した天気になってくれないと忙しい。
中旬には、収穫祭の性格を持つおくんちが各字で行なわれる。古くは、おくんちには神社などにお籠りして泊り込みで楽しんだものという。