2 鶴ケ島は初めどのような森林に覆われていたか(原植生)

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 わが国を気候帯別に見ると、おおむね福島県―新潟県以南から、西南日本の平野部は暖温帯地域となっている。この暖温帯地域のもとの自然、人間の手が入る前の自然の植生(原植生)は、シイ、カシ、タブノキなどに覆われた常緑広葉樹林であった(図―12)。最近はこの常緑広葉樹林を照葉樹林と一般に呼ぶようになった。照葉樹林の代表的なものにツバキがあるが、ツバキの葉のように、常緑で、葉の表面のクチクラが発達し、照りを持った葉の樹木から成り立っている森林の意味である。暖温帯地域に位置している鶴ケ島の原植生も、他の地域と同様に照葉樹林であったと考えられる。残念なことに、この原植生の面影を残す植生は、他の多くの地域と同様に現在の鶴ケ島には残されていない。これらのことについては、第二節「昔の姿を再現してみる」で詳しく述べることとするが、鶴ケ島の自然は、潜在的には、原植生に近い自然植生(潜在自然植生)として、照葉樹林を復元する力を持っている。

図1-12 日本の植生帯


図1-13 鶴ケ島町の潜在自然植生