7 人とのかかわり合いが強い台地上の草原

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 前述の「埼玉県身近な緑の現況調査」によれば、鶴ケ島町の全面積のうち、草地の占める割合は九・一パーセント、水田、畑地が四八・二パーセントとなっている。水田、畑地は人工草原とみなされるので、全体を合わせると草原は五七・三パーセントで、全面積の過半を占めている。
 台地上は、気候的、土壌的条件から見て、本来森林が成立することは前に述べたとおりで、古代においては、この台地上は森林におおわれていた。人間が台地上に生活を始め、農耕を始めるようになって、森林は様々に改変し続け、多くの草原や畑地を生じるようになった。
 過去においては、水田への堆肥材料の供給や、牛馬の飼料を目的とした、カヤトと呼ぶススキ草原が、定期的な刈込みによって持続し、かなりの面積を占めていた記録が残されている。現在は畑地の他に、学校、工場、住宅などに伴った広場や空地が、人口の急増によって多くなった。
 畑地は、定期的な耕転、施肥、除草によって、裸地化が繰返される富栄養な土地である。一方、森林が代採された宅地造成地や盛土によって作られた貧栄養な空地など、土地の条件によっていろいろと異なった草地になっている。草地はまた、刈込みや放置のされぐあいでいろいろと姿を変えている。
 草地に生活する植物たちは、人間との厳しいかかわり合いの中で巧みにこれに適応し、さまざまな生活のしかたを繰り広げている。このような生活に注目しながら、台地上の草地を見ていくことにしよう。