水田

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鶴ケ島では、飯盛川と大谷川沿いに、わずかに水田が開かれている。水田は五月に耕起、六月に田植えが行われ、秋には収穫が終り、春まで休閑地となっている。
 田植え前の田面には、タネツケバナが白花を開き、スズメノテッポウやカズノコグサが大きな群落をつくる。さらに、ノミノフスマ、ケキツネノボタンなどが田面をおおう。やや乾田ではキツネアザミの群落が多数の紫花を着けて人目をひいたりする。
 春田面をおおうこれらの植物は、みな秋に種子から発芽し、冬は地表近くで、じっと寒さに耐えて過し、春とともに一揃に成長を開始し、短期間に開花し、田植えの前には結実する越年性の一年生草本である。イネが生活する夏の間は、田の土中で種子は休眠を続けている。これらの水田の雑草は、田を生活場所としながら、イネと時間的に住み分けている植物たちで、その群落をノミノフスマ―ケキツネノボタン群落と呼ぶ場合がある(表―15)。
表1-15 ノミノフスマ―ケキツネノボタン群落の組成
大谷川流域大谷川流域大谷川流域
草本層高さ(m)4040100
植被率(%)808095
出現種数91317
ノミノフスマ223
ケキツネノボタン1
コオニタビラコ
カズノコグサ33
タネツケバナ21
イボクサ
キツネアザミ3
ミミナグサ1
スズメノテッポウ322
ヤナギタデ
ミゾソバ
サナエタデ
ウナギツカミ
セリ12
コモチマンネングサ1
ゲンゲ1
スズメノカタビラ
ハハコグサ
ムラサキサギゴケ
キュウリグサ1
ナズナ
ハルジョオン

 一方、田のあぜには、オオジシバリ、ムラサキサギゴケ、オヘビイチゴ、ノチドメが地表面をはうように茎をのばして、あぜをおおい、黄、紫色などの美しい花があぜを飾る。
 あぜは、頻繁に刈込みが行われ、踏込みや地ぬりなどの人為的な影響が絶えず繰返えされる。そのため草丈の大きい高茎の植物は育たず、茎を地表にはわせて生活し、節から発根して繁殖するほふく型の多年草が優占し、群落を作る(表―16)。
表1-16 ミゾカクシ―オオジシバリ群落の組成
水田の畦
草本層高さ(m)10
植被率(%)95
出現種数10
オオジシバリ3
ノチドメ3
ムラサキサギゴケ3
オヘビイチゴ1
アゼスゲ2
ケキツネノボタン1
マツバイ
ノミノフスマ
オオアレチノギク
サヤヌカグサ属の一種1