一般に泥炭には花粉が沢山含まれることが多い。春先になるとクシャミをおこす花粉症のもとになる、あの植物の花粉である。花粉は大きさが〇・二ミリメートル以下の顕微鏡でなければみえない小さなものであるが、保存されやすくまた植物の種類によって特徴ある形をしている。その特徴をいかして、泥炭に含まれる花粉の化石を調べて、昔の植生を推定することもできる。
植生はその土地の気候条件を敏感に反映することから、花粉化石を調べることで、花粉が積もった時代の気候条件―古気候―を知ることも可能である。このように花粉は、地質時代の古気候を示す有力な情報源となりうる。このような一連の作業を「花粉分析」と呼んでいる。