造墓の形式

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火葬墓 二つの型式が認められる。
 A火葬直葬墓
(1)長方形に土地を浅く掘り、二個から四箇の石を敷く。(例外もある)。その上に薪をおき、遺体を仰向けて安置させる。

その上に薪を重ね、粘土らしいもので覆う。火入口は頭部につける。

(2)(1)とちがうことは、遺体を横臥させ、足をやや曲げてあることと、火入口が腹部に近いところにあることである。

 B火葬改葬墓
これは発掘調査しなかったが、蔵骨器の破片を表面採取したものである。他の場所で火葬に付し、骨揚げして蔵骨器に納め、墓に埋葬したものと思われる。

土壙墓 二つの型式がある。
A方形土壙墓 方形に土地を深く掘ったもの。

B円形土壙墓 深く掘ってあることは、前者と同様であるが、円形である。

地下式横穴墓
堅穴(たてあな)壙の部分と、遺構の主体である室部とで構成された、地下に設けられた横穴である。堅穴の底から、高さ〇・九八メートル、幅一八・六メートルの横穴が掘ってある。高さ七〇センチの奥壁に、人工的と思われる凹みが数か所あり、遺物としては、骨片。歯・土器の破片が発見された。

 出土品は歯や骨粉・かわらけ・古銭等が出土し、中には布に古銭を包んで、口に銜(くわ)えさせたものもあった。その古銭は六道銭であったのだろう。鉄片も出土したが釘と断定できるようなものではない。木片の出土もあり、あるいは木棺に使用したのかも知れない。
 これらの出土品を一覧表で示すと、次の通りである。
表3-1 お寺山遺跡遺物一覧表
古銭293
土器36
天目茶碗1
その他10

土器片24
85
31
12
4
炭化物29
木片3
数珠2
木の実1
11
焼土17
板碑2
石器3
(『お寺山遺跡発掘報吉書』より)

 次に年代判定の参考となる出土した古銭の一覧表を掲げる。
表3-2 出土古銭一覧表
年代古銭名(鋳造年)
開元通宝(621)6
北宗宋元通宝(960)1
太平通宝(976~983)3
淳化元宝(990)3
至道元宝(923~997)2
景徳元宝(1004)5
祥符元宝(1008)6
天禧通宝(1017~1021)3
天聖元宝(1023)1
景祐元宝(1034)2
皇宋通宝(1039)11
至和元宝(1055)2
嘉祐元宝(1056)5
治平元宝(1064~1067)3
熙寧元宝(1068)11
元豊通宝(1078)13
元祐通宝(1093)8
紹聖元宝(1094~1097)2
元符通宝(1098)2
聖宋元宝(1101)4
大観通宝(1107)1
政和通宝(1111)6
南宗紹定通宝(1228)3
淳熙通宝(1174)1
洪武通宝8
永楽通宝(1408)78
宣徳通宝(1433)1
日本寛永通宝(1626~1869)49
判読不明30
盗難23
293
(同書より)