大土地制度改革

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中央政府の手により、統一的規準のもとに、日本全土にわたって施行された、画期的な土地制度の改革は次の通りである。
(一) 班田収授制 大化改新のとき行われ、六歳以上の男子には二段、女子はその三分二、奴婢(ぬひ)には三分一の口分田(くぶんでん)を授けて、終身用益を許し、死ねば国家に収める。

(二) 太閤検地

(三) 地租改正 明治維新に新政府により行われた。その要旨は、

イ 課税の基準 従来の石高制を廃止して、すべて法定地価に基いて算出する。

ロ 課税 豊凶に関係なく、一律に地価の三パーセントとする。

ハ 納入方法 従来の現物納をやめて、金納にする。

ニ 納税義務者 耕作者が納めてきたのを改めて、地券(ちけん)を交付した土地所有者(地主)に課税する。

(四) 農地改革 第二次大戦後、GHQの指令で、農村の民主化と農業経営の合理化をはかるため行われた土地改革。

   〔註〕
(1) 石高 租税を賦課するために用いられた一定の土地の米の収穫量。それを計算するには、その土地の反当石盛を各反別で乗ずる。

(2) 名(みょう) 名田(みょうでん)ともいう。平安時代以降中世を通じて、荘園や国衙(こくが)領の構成単位。開墾や買得など種々の原因で取得した田地に、取得者の名を冠して、その保有権を表明した。例えば「有友名」の如くである。

(3) 名主(みょうしゅ) 名の持主。名の年貢・公事を取りまとめて納付する徴税請負人であると同時に、名内の特定部分の耕地の所持者でもある。

(4) 職(しき) 土地の用益権・収益権などの権利をいう。

(5) 家父長制的地主 傍系家族・下人家族・譜代下人・下女などを含む大家族集団で、その指導者(家父長)が集団の全財産・人身に対する絶対的・終身的・世襲的専制権力をもつ大地主。

(6) 被官百姓 主家から田畑の一部を分与されて自分の生活を営なむ、その代りに、主家の手作経営を含む各種の労働に奉仕を強制されたもの。分与地は極めて小面積でまた劣悪地である。

(7) 門屋 被官百姓と同じ。当地方では門屋という言葉が使われている。

(8) 村高 石高を一村ごとに通計したもの。この村は高一〇〇石といえば、この一〇〇石を基準として、年貢が割りあてられる。

(9) 村請制 江戸時人、村役人を通じて、年貢や諸役を一村惣百姓の連帯責任で納めさせる制度。初期には、本百姓の身分を公認された上層農民を責任者とした。

(10) 石盛 近世、租税賦課のために、検地によって公定された耕地・屋敷地の反当りの収穫量。石高測定の基準となった。

(11) 口米 租税上納のとき、収納物の減損を補充するため、あらかじめ、本租の米に加えて付加米を納付させた。付加税にあたる。