年貢直納(じきのう)

273 ~ 274
「作合(さくあい)否定」・「一職支配」の原則により、「おとな百姓」が他の百姓に「下作(したさく)」を命じて、「作合」を取っていたのを禁止し、今まで耕作してきた百姓が、領主に直納させるようになった。「おとな百姓」とは家父長制地主のことであり、「他の百姓」とは小百姓である。「下作」というのは、この家父長制地主が、自分に隷属する小百姓に自分の土地の一部を耕作させ、「作合」を取る、すなわち、そこからの生産物を取ることである(のちの小作料にあたる)。それ故、太閤検地は、直接生産者である小百姓に、その土地の耕作権を認めると同時に、年貢の負担者として定め、そのことによって、これまでの家父長制地主の小百姓を搾取する関係を排除しようとしたのである。
   〔註〕
(1) 大名から恩給を与えられ、家臣化した在地武士。

(2) 米の収穫前に、領主が役人を派遣して豊凶の検査をし、年貢高を定めること。