表4-34 収穫高と小作料と貢租 |
石盛 | 収穫高(一反につき) | 小作料(一反につき) | 貢柤(一反につき) | |
上田 | 十 | 籾1石~1石6斗 | 米5斗~6斗5升 | 5斗6升 |
中田 | 九 | 9斗~1石5斗 | 5斗~6斗 | 5斗 |
下田 | 七 | 7斗~1石2斗 | 4斗~5斗 | 4斗3升4合 |
下々田 | 六 | 5斗~8斗 | 3斗~4斗 | 3斗6升5合 |
上畑 | 七 | 麦5斗~1石 | 銭800文~1貫文 | 永125文 |
中畑 | 六 | 4斗~1石 | 600文~900文 | 115文 |
下畑 | 四 | 3斗~1石 | 500文~700文 | 94文 |
下々畑 | 五 | 2斗~1石 | 300文~500文 | 59文 |
文政三年(1829) | 天保三年(1832) | 天保三年 |
この表によって、中田の収穫高・小作料の最高の数値を計算すると、その比率は地主取分四〇パーセント、貢租三三パーセント、小作取分二七パーセントとなり、地主取分は一般より一二パーセントも多く、小作人は八パーセントも低い取分となる。最低の場合、小作料と貢租を合せて一石となり、収穫高九斗では一斗の不足となる。実際には、こういう事はあり得るはずはなく、反当九斗の減収の場合には貢租も小作料も共に減少するのである。
田中家の「田畑入揚覚(※註7)」のうち反別の判明する水田だけを摘記すると表―35となる。
表4-35 田中家の小作料と地主作徳 |
小字 | 等級 | 地積 | 取穀 | 地主作徳 | 小作取分 | 地主作徳率 | 小作取分率 |
神鳴 | 下々田 | 一反〇畝〇二歩 | 八斗〇升〇合 | 三斗五升〇合 | 四斗五升〇合 | 四四% | 五六% |
〓花 | 中田 | 八・〇四 | 八・二・〇 | 六・〇・〇 | 二・二・〇 | 七三% | 三七% |
東谷 | 下々田 | 五・二四 | 五・五・〇 | 二・三・〇 | 三・二・〇 | 三二% | 五八% |
宮田 | 上田 | 一・〇・一七 | 九・二・八 | 一・六・八 | 七・六・〇 | 一八% | 八二% |
和田橋 | 下田 | 五・〇九 | 五・〇・〇 | 三・五・〇 | 一・五・〇 | 七〇% | 三〇% |
石田 | 〇・一〇 | 五・四・〇 | 四・五・六 | 八・四 | 八四% | 一六% | |
神鳴 | 一石二・七・〇 | 七・七・〇 | 五・〇・〇 | 六一% | 三九% | ||
二反田 | 一・三・五・〇 | 八・〇・〇 | 四・九・〇 | 五四% | 三六% | ||
宮田 | 五・七・〇 | 四・〇・〇 | 一・七・〇 | 七〇% | 三〇% |
田中家の小作料入揚げ(入上げ)は、簡単に表面の数字だけでは、その内容を知ることはできない。高率の八二パーセント、五八パーセント、五六パーセントの小作料があると思えば、わずか一八パーセントしか納めていない者がいる。これは、従来の年貢その他の勘定関係が内在していると思われるので、こういう数字となったのであろう。
小作取分は、全国平均の三五パーセント前後の数字が純粋に小作人の手取りとみるべきである。