第三節 御触書(おふれがき)・御請書(おうけしょ)

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 江戸時代に、幕府の命令を関係役所や、町役人・村役人を通じて、一般庶民に伝える文書を御触書といった。そして、範囲を限って、特定の関係役所や関係役人だけに通達する「御達(おたっし)」と区別された。なお、極めて重要な幕府の法規を特に「法度(はっと)」といった。また法度は常識的には一般的に禁止する法規の意味にも用いられた(石井良助『日本法制史概説』)。
 御請書とは、名主が御触書を伝達されたさい、拝見承知しましたという請印を押して、領主や代官に差出す文書のことである。
 「五人組帳前書」は、農民に対する御触書を集約して、農民のための聖典としたが、それが、いわば法令集として完備したものであっただけに、法令遵守・百姓教化の使命からだんだん遠ざかり、終には飾り物にすぎないものとなった。ところが、幕末近く物情騒然となると、差当って必要とする重要事項を指示し遵守させるために、幕府や領主は、同じような趣旨の御触書を瀕発(ひんぱつ)しなければならなくなった。そして、それを確認させるために、惣百姓の連印誓約を命じるという方法を繰返した。このように、小前末々までの徹底を期して、惣百姓が誓約請印させられた文書が御請書である。