これらの項目のうち、幕府が具体的な治安対策として、新しく取り上げたのは(七)である。
関東農村では、天領・私領・寺社領が複雑に入り組んでおり、無宿者や悪党が横行していても、従来のままでは取締りが十分に行われにくかった。そこで、更に関東取締出役の機能を高め、有効にするために、寄場がおかれ、組合村が編成されたのである。
組合の編成にあたっては、関東全域にわたって領主の異同に関係なく、地理的便宜に従い、村高の多少に応じて、近隣の村々の三~六か村を組み合せて小組合村とした。そして、その中から小惣代を選んで、統轄者とした。そのうえ、ほぼ四〇か村、すなわち、約一〇小組合村で大組合村を組織し、小惣代の中から大惣代を選んで、大組合村の運営にあたらせた。また、組合全体からみて、特に村高が大きく中心的な村を寄場(よせば)とし、その村の名主を寄場役人にした。寄場役人は、出役からの指示を受け、それを組合村々に伝達する役目をもっていた。