第一節 一揆の目的

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 「世直し」・「世均(よなら)し」である。「椀・箸・杓子を描き、『世直し』としるし候大文字の旗を押し立て」、「大旗に南無阿弥陀仏としるし、一本は平均世直し将軍と太筆にしるし、二流の旗を真先に押し立て……」などと記録に残っており、文字通り「世直し」が彼らの共通のスローガンであった。他にも、幟(のぼり)や提灯(ちょうちん)に「諸国泰平」とか、「日本窮民為救(すくいのため)」と記したものもあった。
 「不仁の者を見こらしにして困窮の諸人を救わん」ためという正当性を主張して、「百姓は百姓だけの趣意にて世の見せしめに不仁の者をこらしめ」るために立ち上った。そして「打ちこわし」の目的は、蓄財を破却することによって無にいたらしめ、悪徳の富者を、「世直し」勢と同じ社会層に落しいれることであった。