土地永代売買の解禁

524 ~ 525
「地所、永代売買の儀、従来禁制のところ、自今(じこん)(今より後)四民共に売買致し、所持候儀、差し許され候事」(太政官布告明治五年二月一五日)
 田畑の永代売買は寛永二〇年(一六四三)に禁止され、違反すれば、売主は所払い、買主と証人は過料、売買された土地は没収という重い罰を受けた。しかし、年季売とか質地流地とか、この禁令をくぐる方法は黙認されていたから、土地の流通をあくまで阻止する方針を幕府がとっていたわけではなかった。
 「四民共に売買致し、所持」することを公認することになったのは、土地制度上重大な意味をもっている。四民、すなわち士農工商の身分差による土地所有の制限を撤廃したからである。それまでは、商人は農地を、農民は町地を買得できない法であったからである。この太政官布告は、何人も土地を所有し、かつ売買する自由のあることを宣言したものである。
 以上挙げた土地所有の許可、田畑勝手作り、永代売買の自由は、封建的土地所有を、近代的所有に転化させるための、不可欠な前提であった。