町村の復活

550 ~ 551
今までは、小区のなかに埋没されて、法的には認められなかった町村が、再び行政区域として認められることになった。政府は説明する。
  旧慣ニヨルニ、町村ハ実ニ一ノ形体ヲナシ、大ナルモコレヲ削ルベカラズ、小ナルモコレヲ併スベカラズ。一町一村ノ人民ハ、利害相依ルコト一家・一室ノ如キアルノミナラズ、亦(マタ)、財産ヲ共有シ、一個人ノ権利ヲ具(ソナ)フルモノノ如シ
 伝統的な村の機能は、単に行政単位としてだけ存在していたのではなかった。人々の共同生活組織の骨組みとして存在していたのであった。行政区域は住民の生活圏に合致することによって、初めて行政の実があがるということが政府にわかってきたのであった。村の共同体的性格を重視する立場から、町村の区域や名称は、すべて旧によることになり、原則として町村の合併は禁じられた。