町村会議員

552 ~ 552
戸数の多寡に従うが、百戸未満の町村は、拾員(名)以下とする。
 議長・副議長・議員の俸給はなかった。被選挙権は、「満二十才以上ノ男子ニシテ、其ノ町村内ニ本籍・居住ヲ定メ、其ノ町村内ニ於テ土地ヲ有スル者ニ限ル」。選挙権をもつ者は、満二十才以上の男子で、其の町村内で土地を所有し、其の町村内に本籍をもって居住する者、及び満三年以上間断なく寄留する者に限る。
 投票は、戸長から与えた用紙に、選挙人自身の住所・姓名及び被選挙人の住所・姓名を記し、予定の日に戸長に提出する。
 議員の任期は満四年だが、二年毎に半数を改選する。議長・副議長の任期は二年である。ただし、三者とも再選することができる。
 以上は、埼玉県町村会法の概略であるが、要するに、生活に余裕があり、村の有力者でないと、戸長はもちろん議員にもなれない仕組であった。税金の賦課徴収の方法や、町村の公共事業に意見をいえる者は、有力者に限られるという制度であった。
 左に斎藤万造氏の第一回村会議員選挙の当選状を掲載する。
    斎藤万造
  右ハ本邨(ソン)公衆ノ投票ニ依リ村会議員ノ
  撰ニ当リ 則明治十二年ヨリ十三年迄
  二ケ年間議員タルノ任ヲ尽サレン事ヲ
  冀(キ)望ス 仍(ヨツ)テ当撰状如件
   明治十二年十一月十日
    高麗郡脚折村戸長田中万次郎印
             (斎藤寛家所蔵)