戸長官選・連合戸長役場の同日付で、区町村会法の全文改正が行われた。この改正の目的は、町村会に対して、戸長・県令の統制を強化しようとするものであった。
先ず、町村会の議決事項は、町村費で支弁する事項と、その経費の支出・徴収方法に関することと、狭い範囲に限定されたのであった。そして、議長は、今までは議員の互選によったのが、戸長が議長になることになった。そして、町村会の召集や解散・停止、議案の発案・評決を施行するか施行しないかの権限が、広い範囲で戸長に与えられた。こうして、町村会は官選の戸長に完全に掌握されることになった。これは
「区町村会ヲ改正スル所以(ユエン)ハ、名ヲ協議会ニ藉(カ)リテ、放恣(ホウシ)ナル論説ヲナス者ノ甚ダ多キヲ将来ニ防制センガタメナリ」という趣旨であり、また、選挙・被選挙権を、今までは「不動産ヲ所持スル者」であったのを「地租ヲ納メル者」と限定したり、「国事犯禁獄ノ刑ニ処セラレ、満期後五年ヲ経ゼル者」として、自由民権運動家を町村政から排除した。こうして、政府への反対勢力を町村会から一掃しようとしたのである。