第九節 郡制の施行

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 郡制は明治二三年に発布されたが、その後六年たって、明治二九年にようやく施行されることになった。郡は、江戸時代には単に地理的名称にすぎなかったが、郡区町村編制法の施行によって、官吏である郡長の支配する行政区画となった。しかし、それは行政区画としての郡であって、自治体としての性格は与えられていなかった。この度発布された郡制は、これに自治体としての性格を与える制度である。これには、反対意見もあったが、時の内務大臣は「町村ノ上ニ、更ニ自治団体トシテ郡ヲ置キ、以テ地方自治ノ基礎ヲ鞏固(きようこ)ニスルハ、我邦ニ最モ重要」であると、強硬に主張したので、実現することになったのである。