隷従する小作人

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こういうふうに、小作人は保護してくれる法律がなく、絶対的に弱い立場にあった。高率の小作料と、耕作権の不安定な小作人に反して、地主の方では、土地の借り手は幾らでもあるから、いつでも土地を取り上げることができるし、他人に土地を売れば小作権は消滅してしまう。ところが、小作人はたとえ一反でも土地を失うと、たちまち生活に窮する、という状態が一般的であった。それで、多くの場合、小作人は地主の無理な要求にも従わざるをえなくなり、また日常生活の上でも、地主に卑届なまでの隷従をよぎなくされたのであった。