「色赤黒の野土(※1)」の土壌に栽培する作物のうちには、適・不適がある。
(イ)適応しない作物 稲粱(稲)(※2)・大麦・菽麦(しゅくばく)(豆と麦)
(ロ)適応する作物 稲・小麦・黍・稗・粟・甘藷・蕎麦(そば)
(※1)「真土(まつち)はねばり強く、土堅し。肥しを多く入ればよく出来るなり。野土は土浅く、ねばり薄し。その色の赤は山野土なり。よろしからず。」(「地方落穂集」)
(※2)稲が土性に適応しないと書いた村は、上新田・下新田・三ツ木新田と脚折・三ツ木・上広谷であるが、新田には水田がないのだから、水稲作ができないのは当然である。脚折・三ツ木・上広谷は、水田耕作によって現に貢租を納めている。稲に不適応というのは土性ではなく、水利関係であろう。粟については「百姓伝記」によると、「土地に嫌いが多く、また病いにつきやすく、作りにくく、取実少なきものなり」とあるから、土性が不適応であったのであろう。