協同製茶工場設置の目的は、中堅農家が協同出資によって工場を機械化し、生産費を切りつめると同時に、設備投資の共同負担による負担の軽減であった。しかし、中堅農家が茶の景気とともに資本を蓄積する段階に達すると様相は変ってきた。
量的本位の静岡茶とちがって狭山茶の場合は、相変らず質の高い、「味の狭山茶」である。共同出資によって規格を統一したり、品質を調節するような段階に止まることをしなかった。蓄積した資本が単独で機械化の負担に堪えられるようになると、より高度の段階、すなわち自己資本による機械化へと進んだのである。こうして、現在は個人製茶が主体となっている。