学校令期の特色のひとつとして、国家主義的な教育方針の確立があることは既に述べた。「埼玉県小学校教則」によれば、小学校教育の目的は「児竜ノ徳性智力及ヒ身体ヲ発育シ以テ善ク身ヲ修メ業ヲ営ミ健康ヲ保チ国家ノ良民タラシムルニ在」るとされる。太平洋戦争敗戦までの国家主義的教育の象徴であった御真影の奉拝や教育勅語の奉読の儀式も、この時代に確立されたものである。
　表―72・73は、この時期の鶴ケ島の予算表である。歳出の状況をみると最も大きな比重を占めているのは教育費であり、小学校の諸経費の維持はかなり過重なものとなっていた。また、就学率、高等科への進学率の増加により校舎の新・増築が必要となり、鶴ケ島第一尋常高等小学校では大正一一年（一九二二）、校舎を増築している。