昭和初年代、高倉を主なフィールドとして活発な郷土史研究が行なわれているが、これは明らかに有道社の流れを汲むものである。縄文、弥生、古墳、中世にまたがる複合遺跡である小屋遺跡の発見と最初の発掘調査も、この頃になされた。いわば鶴ケ島の考古学の夜明けとも呼ぶべきこれら活動についての記録は、「原始時代に関する村考」(昭和六年・有隅豊吉)等として残されている。
昭和三〇年代半ば頃から再び文化財に対する関心が強まり始め、組織的な取り組みがなされるようになった。この時期、村民有志により郷土史研究会が組織され、活発な活動を行なっている。村教育委員会も、文化財に対する行政的な関与を開始し、埋蔵文化財分布調査、発掘調査を行なった他、若干の報告書等を刊行した。
昭和四八年には「鶴ケ島町埋蔵文化財保護条例」が制定され、文化財保護行政の基礎が固められた。以降、郷土史講座の開設、史跡文化財めぐりの実施、文化財の調査と保存、報告書やパンフレットの刊行、等の事業が展開された。
なお、昭和六一年一〇月現在までに、町或いは県より指定を受けた町内の文化財は、表―76の通りである。
表5-76 町内の指定文化財一覧 |
県指定文化財 | ||||
名称 | 種別 | 所在地 | 所有者並管理者 | 指定年月日 |
脚折の大欅 | 天然記念物 | 脚折町6-10-15(白鬚神社内) | 宮本豊太郎 | 昭和7年2月15日 |
町指定文化財 | ||||
名称 | 種別 | 所在地 | 所有者並管理者 | 指定年月日 |
高倉獅子舞 | 無形文化財 | 高倉日枝神社内 | 高倉獅子舞保存会 | 昭和49年11月1日 |
鶴ケ島発祥地 | 史跡 | 脚折字鶴ケ島746 | 鶴ケ島町 | 昭和49年11月1日 |
脚折雨乞 | 無形文化財 | 脚折町6-10-15(白鬚神社内) | 脚折雨乞行事保存会 | 昭和51年8月1日 |
三ツ木慈眼寺黒這松 | 天然記念物 | 三ツ木慈眼寺内 | 三ツ木慈眼寺黒這松保存会 | 昭和57年3月15日 |
太田ケ谷満福寺枝垂桜 | 天然記念物 | 太田ケ谷満福寺内 | 太田ケ谷満福寺枝垂桜保存会 | 昭和57年3月15日 |
中新田神明社大檜 | 天然記念物 | 中新田神明社内 | 中新田神明社大檜保存会 | 昭和57年3月15日 |
才道木日光街道道しるべ | 史跡 | 脚折1837-1 | 鶴ケ島町 | 昭和57年3月15日 |
高福寺不動明王画像 | 有形文化財 | 高倉高福寺内 | 不動明王画像保存会 | 昭和61年1月23日 |
脚折の大欅
昭和40年代前半の鶴ケ島発祥地