14 才道木の坂

 県道川越越生線で、鶴ヶ島地内の代表的な坂は、脚折才道木の坂と藤金長竹の坂であった。このうち才道木の坂は、高倉を経て和田橋から現在の保健センター前の家並の北側を通って才道木に入る、延長166m程の大きく曲った坂で、荷積した手車や荷馬車にとっては大変な難所であった。

 大正年代越生の街から出たテト馬車にとっては、この坂が最後の坂で、上りつめると才道木の馬立場で替馬ができて、ここからは新馬が川越に向ったのである。

 和田橋から坂を上りつめるまで道沿に民家はなかったが、大正の頃坂中央北側山林の中に手織を業(なりわい)とする家が1戸建ち、これは十数年間続いた。