23 えーごんぼう

 大字上新田字新町の畑の中の農道沿に、古来よりむら人に「えーごんぼう」の名で知られたところがある。そこには1基の碑が、土台は半ば土中に入り建っている。碑は高さ2尺1寸(64cm)、幅9寸(27cm)、厚さ6寸(18cm)ある。正面の浮彫は菩薩と推定されるが、永年の風雨に晒され、何仏であるかを知るには余りにも風化が進んでいる。

 碑の左側に「永言為菩提建之 高麗郡上新田村中」と記され、右側には「天保十己亥年十月吉日」とあり、今から180余年前に建立されたものであることがわかる。

 ここは遠い江戸時代に永言坊のあったところであるが、この地で絶家したものであろう。上新田村の人々に信教上よくつくした事により、「永言菩提の為」村中で碑を建てたものである。永言坊に関する資料が残っていないため、詳細は不明であり、信教上の役割も断ずる事は出来ないが、以上の事は諸般の事情より見て確かであろう。

 奥深い畑の野道に、今は訪れる影もなく草むらの中に苔むしている。