25 自転車競走跡

 自転車が未だ各家庭にはいきわたっていなかった大正年代初頭、その普及販売をねらって自転車販売業者が自転車競走をした場所が、大字町屋字持家にある。鎌倉街道端を利用し大地主の畑を借り受けて、自転車が走れる様に平盤に地固めした、幅3間(5.4m)程の楕円形のコースであった。

 競技する人は業者達で、ハンドルの下っている競走用の自転車を使用した。広い地域から競技者が集まったという。

 一般には、実用車でさえ未だ普及していなかった時代で、自転車業者が軽快に疾走して見物客の欲求心をかり立て自転車の普及販売に努めたのであった。

 土地は自転車競走が終了すると地主に返し、作付に支障ない様にしたのだと、子供の頃見物したという土地の古老は語っていた。