30 羽折稲荷の一丈杉

 『郡村誌』によると、下新田と称したのが今から370余年前正保の頃という。また、370余年前の「慶安元年松平伊豆守御縄入の節羽折稲荷神社へ林七反九畝歩賜る」との記録もある。

 この下新田氏神羽折稲荷神社拝殿の前庭に、杉の巨木が立っている。むら人は、稲荷様の御神木として永い間守り続けてきた。

 落雷のために先端が折損し、今はそこから出た枝が真直に空に向って伸びている。羽折稲荷神社の御神木として、三百数十年の間訪れる里人の家内安全、五穀豊穣、商売繁昌を願っていた事であろう。

 この杉の老樹は、昭和54年(1979)5月19日調査では以下の状態にある。

  目通り胴廻り 3m13cm(1丈3寸3分)

  枝下目測   10m

  樹幹根元に3ヶ所欠損

   正面1ヶ所 地表幅82cm高さ161cm細長い三角形状

   裏側2ヶ所 地表幅71cm高さ54cm三角形状

         地表幅16cm高さ70cm長方形状

 この御神木の西側には、樫の大木の切り株が残っている。

   切り口の高さ1m

   切り口の太さ4m14cm(1丈3尺6寸6分)

 盛木の時代はあたりを暗く包んでいたというが、往年の面影が樹根によく残っている。