54 古式年行事引譲行事

 古式にのっとった年行事引譲行事が長い時の流れを越え、今でも大字高倉において続けられている。

 この年行事引譲の行事は毎年2月初午の日午后から、高倉会館において行われる。当日は大山・御獄・榛名・古峰ヶ原・各神社代参人を決める目安くじが出され当該年度の代参人が確定し、次に同じ方法で年行事を決めるのである。

 年行事は、高倉上1名高倉下1名の計2名がつく慣習が定着している。任務としては日枝神社の祭事・獅子舞・不動様・薬師様の春秋2回縁日行事、4月8日大日様7月24日の浅間様等の縁日行事、及び初午の行事に至る迄の一切を行司する。

 新しい年行事が決定すると、新旧年行事の引譲りがおごそかに古式で行われる。

 高倉会館座敷において年行事提灯(弓張提灯)2張に火をつけてすわる。上座に新行事2名、下座に旧行事2名が向いあって着座。この時新行事側に隣組と字内親戚の人達が付添い、又旧行事側にも隣組、字内親戚が付添う。氏子総代人は立合人として列席。関係者全員が着席すると、御神酒と豆腐4丁が用意される。

 新行事2人の前に豆腐2丁が1皿盛られ、又旧行事2人の前にも同じ様に豆腐が盛られる。そこで旧行事から新行事へ会計帳、神社の鍵及び獅子倉の鍵が手渡され、引継物が済むと引譲の酒がくみ交される。これが終り次第新行事から旧行事にねぎらいの言葉がかけられ、旧行事から新行事に一切を御願いする意味の言葉があり、行事提灯2張の火を消し儀式は終了するのである。

 この古式な行事を終えると、高倉稲荷講日待(字により大遊びの日待)へと移っていく。

 なお獅子舞については、旧年行事が後見役として新行事を助けることになっている。

 毎年10月13日、年行事はその年の獅子舞について氏子に相談をかける事が決りで古来より今に変らない。獅子舞行事は、毎年11月8・9・10日の3日間であったが、昭和54年(1979)より11月2・3日の2日間に改められている。


※:年行事。場所によっては年行司とも言う。