大字太田ヶ谷には、遠い昔から各谷(生活地域)を守護する神として、新井・新田・東と3稲荷社が祀られている。祭神は倉稲魂神(うかのみたまのかみ)・猿田彦命(さるたひこのみこと)・大宮売命(おおみやのめのみこと)の3社で、倉稲魂神は五穀の御魂の神、猿田彦命は導きの神で悪魔祓いの神、大宮売命は家の中の守り神で善を勧め悪をこらす神とされている。稲荷社が3ヶ所祀られていることは3つの神の御神徳を仰ぐことなのである。
毎年2月の初午には、小豆飯または牡丹餅と御神酒を供え、その日は稲荷社の縁日として今に至っている。行政区の内第一区新井稲荷、第二区新田稲荷、第三区東稲荷とに分れ、それぞれ五穀豊穣、家内安全、商売繁昌がむら人の願いとして続けられて来ている。東稲荷は毎年冬至に星祭り行事がなされ、土地の人々が材料を持ち寄り小豆飯や御神酒その他供物をして祭り、参拝者におすそ分けをする風習がある。
講中40余戸により、当日は東稲荷社前において神官による星祭り行事が施行される。関係者は祈願札を受けて、来るべき年の星廻りの良いことを願い、家内安全、家運隆盛に大きい期待を持ち、平和な家庭大きくは土地の発展のため稲荷社信仰は永久に続いていくことであろう。