65 おらいれん様

 中新田中方にある旧家の西裏に、小さな祠が祀られている。むら人は遠い昔から「おらいれん様」とよんで信仰をしてきた。時世の移り変りで今は訪れる人もないが、かっては風邪熱でのどが痛む時には、早く癒る様御願いすると痛みが引いて回復すると伝えられ、子供の神、風邪の神として人々がひんぱんにお参りしたのであった。

 「おらいれん様」は、その昔落雷があり被災したので雷電様を祀ったのだと伝承されているが、いつの頃か年代は定かではない。

 祠は高さ2尺5寸(76cm)幅1尺2寸5分(38cm)あり、その中に御神体が置かれている。形状は神札で、大正年代まで榊の植えこみの中にあったといわれ、永年にわたる風雨により木札は摩滅し御神体の文字を消してしまっている。祠の中に、明治年代から大正初期と推定される御礼参りの子供のおもちゃが供えられていた。金物製鈴1つと、錆びた金物製の笛3つが置かれ、かつてむら人が「おらいれん様」に御礼参りに供えたものである。