72 町屋の神明様

 町屋の神明様は、昔町屋村名主中島家の屋敷鎮守であったのだと言う。神明様は、土地の人々にお産の神様として知られ、他所へ嫁入りした者はわざわざ、神明様に来て神徳を授けられる様祈願した。祈願すれば難産はないとまで言い伝えられて来たと言う。

 神明様の祭典には獅子舞があった。それは旧大家村森戸の獅子を頼んで来て、神社で獅子舞をしたのであった。大正年代の初め、村ちがいの旧大家村森戸国渭地祗(くにいちぎ)神社に神明様は合祀されたが、獅子が取りもつ縁であったのであろう。

 神明様は合祀された後も祀られている。森戸国渭地祗神社に代り、神明様は昔ながらの鎮守として土地の人々に親しまれ今に至っている。国渭地祗神社に神明様が合祀された時、神殿四方屋根に着いていた欅材、木彫りの獅子頭は、中島家に丁重に保存されてある。

    獅子頭

  1組 高さ2寸5分(7.5cm) 長さ2寸5分

  1組 高さ2寸5分      長さ3寸5分(10.5cm)