六 被り物、服装

 獅子とハイオイ 獅子役が被る獅子頭は、大獅子が漆塗りで眉毛と歯の一部が金色に塗られている。前髪に黒の鳥羽が付き、前頭部には黒漆塗りの宝珠がある。目玉は黒色で、鼻は正面に鼻孔を見せるようにして両脇に皺が付けられている。囗に鬼歯は形成されておらず、幅一八センチメートルが軽く開いて、口中から赤い舌が見えるようになっている。角は茶と赤の螺線形模様の棒角で、長さは二六センチ。獅子頭の全長は下顎から頭部まで一八センチ、下顎から角上部まで四一センチ、全幅一六センチを測る。鼻の先がはげていて、激しいぶつかりの状況を物語っている。

 こうした獅子頭を被って獅子を舞うのは大変で、頭の先から足の先まで汗だらけになってしまう。獅子頭が落ちないように口の所できつく締めるので、くっきり型がついてしまう。外しても口のあたりが変ですぐに食べることもできない。

 後獅子は、黒漆塗りで、眉毛と歯が金色に着色されている。黒漆塗りの宝珠や黒の鳥羽が付いているなどは大獅子と同じで、寸法も同じである。

 中獅子は朱漆塗りで角がなく女性を表している。全体に小さく、下顎から頭部まで一五センチメートル、全幅一六センチを測る。眉毛も大獅子や後獅子のように彫ったものではなく、雲形の巻き毛が付いている。また前髪には茶の鳥羽が付けられている。

 獅子役の衣装は、長袖の襦袢に裁(タ)っ着け桍を着用、白足袋に草鞋を履く。頭に載せる獅子頭が落ちないよう木綿の哂できっちり結ぶ。顔が見えないよう、大獅子、後獅子は青色のミズヒキ(水引幕)を、中獅子は茶色のミズヒキを着ける。ミズヒキには牡丹の花の絵が描かれている。

 獅子の持つ楽器に太鼓がある。太鼓の大きさは二〇センチメートル前後で、樫でできたバチ(長さ二〇センチ)を使用してリズムをとる。太鼓には清めとして小さい御幣を刺している。

 ハイオイの服装は獅子役と同じく長袖の襦袢に裁っ着け袴を着用し、白足袋に草鞋である。頭に鉢巻きをして、赤い襷をかけ、右手に軍配、左手に采配を持っている。軍配は長さ四五センチ、幅一九センチ、付随する赤い紐は四〇センチ、左手の采配は長さ七六センチを測る。金地のチャンチャンコを着用し、腰には御幣を刺している。

 ササラッ子 ササラッ子たちの頭には花笠が載っているため、この役を「花笠」ともいう。ササラッ子は、頭に直径三五センチ、高さ一〇センチの朱塗りの木で出来た丸い笠を被る。その上に、高倉の「高」をデザインしたマークがあしらわれている縦一二センチ、横二五センチの箱状のものを載せる。箱の上部には中央に一つの穴、その周囲に九つの穴が空いている。周囲の穴には花の飾りが刺し込まれ、中央の穴には太陽もしくは三日月を模したものが立てられる。笠からは顔を隠すように布が垂れている。花笠は落ちないようにきっちり手ぬぐいで結ぶ。子供はきつく縛られるので嫌がる。女のような着物を着て帯を締め、その上に前かけをかける。手甲を着けるところもあるが高倉では着けない。白足袋に赤い鼻緒の草履を履き、手にはササラを持っている。ササラは四〇センチ弱の竹製で、節のない部分を半裁し鋸刃状に加工したものを片手に、もう一方の手に先端から二〇センチあまりを細く割ったものを持つ。これを擦り合わせて音を出す。ともに黒漆が塗られ、赤いヒモが二〇センチほど付いている。

 天狗など 天狗様は、袖付きの着物を着て、裁っ着け袴をはき、紺色の足袋に高下駄を履いて背を高くする。ムラ回りの時などには草鞋を履く。頭には兜状の帽子を被り、顔に天狗の面を着ける。面は長さ二ーセンチ、幅一五センチ、鼻長一一センチの朱塗りである。右手には長さ二二〇センチ、幅二〇センチの紙で作った長槍を持ち、腰には一二五センチの大刀を差している。

 万灯及び笛方、歌うたいは羽織、桍を着る。今日では背広姿で参加する人もいる。