織田信長書状
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元就様江信長公ゟ御状幷御覚書
「 ( (織田)
毛利陸奥守殿 進之 信長
去五月廿八日書札令拝披候、条ゝ被仰越候、本懐之至候永興寺有帰国、京都之趣被相達候旨珍重候、其後至北国働候次第、幷江州浅井(長政)手之反覆之躰、其聞之由候間、模様以別紙申候、仍雲・伯弥被属平均之由可然候、備・播表出勢之儀、時分見合自是可申候、不可有油断候、恐ゝ謹言
(元亀元)七月十日 信長(花押)
毛利陸奥守殿 進之候
織田信長書状覚書
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覚
一 若狭之国端ニ武藤と申者企悪逆之間、可致成敗之旨、為上意被仰出之間、去四月廿日出馬候、武藤種ゝ相詫候条召出、要害已下令破却、任御下知之事
一 彼武藤一向不背之処、従越前(朝倉義景)加筋力候、遺恨繁多ニ候之間、直ニ越前敦郡ニ至て発向候、手筒山・金前両城を踏相支候シ、不移時刻先手筒山攻上、即乗入数百人討捕落居候、金前城ニ朝倉中務太輔(景恒)楯籠之間、翌日可攻破覚悟候処、懇望之間加用捨追出候、両城共以任存分候、則国中へ雖可及行候、備・播表出勢之儀内ゝ約諾申之条、時宜為可示合、金前ニハ番手入置、先帰洛候つる事
一 浅井(長政)備前守別心易色之由、帰洛之途中へ告来候、彼等儀近年別而令家来之条、深重無隔心候き、不慮之趣無是非題目候事
一 在洛中畿内之面ゝ人質取聚、天下無異儀趣候条、五月中旬至濃州納馬候事
一 浅井備前元来少身ニ候間、成敗非物之数候処、信長在京中ニ越前衆相語、濃・江堺目之節所を拘、足懸二三ケ所拵可禦支度候き、去十九日向彼地出馬候、同日敵城右之料所を初、彼是四ケ所落居候、且得利本望候事
一 同廿一日浅井居所小谷(近江)へ押入、城下之儀不覃申、江北中皆以放火候事
一 小谷より二里余南ニ横山と申地を、浅井かたより拘置候間、可討果ためニ詰陣申付、信長も在陣候、然而為後巻越前(朝倉義景)衆・浅井(長政)衆都合三万ニ可及候歟、去月廿八日巳時取出候、当手人数同刻備合遂一戦、両口共切崩得大利候、首数之事更不知掠量候間、不能注候、小谷城雖可攻果候、残党逃入候、山も険之由候条、一旦ニ難果歟、然間押之執出申付候、畢境落居不可有程候、如此早速達本意候事、且者為天下、且者為倅家、大慶不可過賢察候事
一 阿州牢人等相催、摂州端ゝ錯乱由候条、今月四日令上洛候き、牢人沙汰消滅候間、先下国候、頓又可上洛候聊無油断事
一 畿内其外之躰被聞届度由候条、有姿端ゝ染筆候、猶追而可由事
(元亀元)七月十日 (織田信長)御朱印
吉田(毛利元就)
九ヶ国御領地之時国々物成付
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九ケ国御領知之時国ゝ物成付
六ツ成
一 拾壱万七千七百六拾石 備中
七ツ半成
一 拾八万九千弐百石 備後
七ツ成
一 六万弐千七百石 伯耆
八ツ半成
一 拾八万六千百五拾石 出雲
四ツ成
一 壱万弐千石 隠岐
八ツ成
一 拾壱万五百六拾石 石見
七ツ半
一 弐拾壱万弐千九百五拾石 安芸
八ツ成
一 拾六万弐千五百八拾石 周防
七ツ半成
一 拾三万三千七百九拾石 長門
幷百拾八万七千六百九拾石
福島正則書状
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御返納米之儀ニ付、羽柴左衛門大夫殿ゟ吉川蔵人・福原越前守江御状
尚以拙者儀ハ余人ニ相違申候間、御両人様御肝煎を以急度御済候様、御申候て可給候、去年てるもと(毛利輝元)御身上儀候、随分馳走申候、者や御失念候哉、余なる御裁判と一入致迷惑候、以上能申入候、従旧冬如申入候、先納之儀度ゝ雖申入候、然ゝと御返事も無之候、過分之儀ニ御座候間、急度被仰付候様ニ御申候て可給候、委細御報ニ具ニ承度候、恐惶謹言
羽(羽柴)左衛門大夫
(慶長六)二月二日 (福嶋)正則(花押)
吉川蔵人(広家)殿
福原越前守(広俊)殿
人ゝ中
福島正則あて福原広俊・吉川広家返答案
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同断ニ付、羽柴左衛門大夫殿江両人より返答之案
貴札致拝見候、仍備芸先納之儀ニ付而、旧冬已来度ゝ被仰聞候、輝元手前之儀、金銀米銭曽而以内ゝ余分無之候而、此節礑不及是非仕合共候、併近年数ケ国相抱、其上銀山所勘仕候間、更如此可有之とハ世上御掠量参間敷候間、去年已来貴殿様御入魂をも存忘候様可被思食と、一入御心中迷惑仕候、於此条者連ゝ可被及聞食候、此中茂色ゝ短息仕候へとも不及了簡候て、御使衆をも一日/\と致抑留候、右申候様手前ニ少も無之候上者、別ニ可仕才覚無御座候条、追ゝ人を差下候て、防長罷退候家人共之内をせんさく仕候て、弐万石分之儀、来三月中ニ何とそ相調申候様可仕候、然者先給主地下ニ借置候分も少ゝ有之由候間、其究をも内儀申付候て可得御意候条、左様之所をも聞食被分、其上不足分之儀、来秋被召置候て可被下候、左候ハね者防長ニ相抱候事茂不罷成迄を、迚も以前引立今迄相続候身上候条、於御分別者重ゝ之御□□□□□(立たるへく)候、御倉納御代官衆幷堀尾(忠氏)殿よりも日ゝ御催促候へ共、何とも不罷成候而不及是非候、委細御使へ得御意候、恐惶謹言
福 越前守
(慶長六)二月三日 広俊
吉蔵人
広家
羽左太様
貴報