解題・説明
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国絵図は江戸幕府が国内情勢の把握のため、各国大名に作らせた国単位の大型彩色絵図で、慶長の他に正保・元禄・天保時代にも作成されました。毛利藩の担当者は家老の福原広俊で、この2枚は慶長10年(1605年)頃に作製、幕府に提出された正図の控図です。既に国内に正図はなく、絵図の裏書きから、現存する9カ国の慶長国絵図の中で正当な控図と確認できる唯―のものです。郡境は紫、道は赤、河川が青で表され、萩城など4つの城や、郡高や郡名、村高や郷村名なども表示されています。現存する最古の山口県全域を表す地図として、また江戸時代初期の交通、経済、地勢が一覧できるものとして極めて貴重な歴史地理資料です。
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