解題・説明
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この古文書は、宇部市の厚南平野に流れる御撫育用水の川筋を描いた絵図で、文政5年(1822年)に作成されたものです。御撫育用水は撫育方の工事により、天明8年(1788年)に着工し、寛政4年(1792年)に絵図に描かれている中野開作までが完成、安政6年(1859年)に妻崎新開作まで全面開通しました。この用水の開通により水利が飛躍的に良くなり、地元の人々は感謝をこめてこの用水路を「御撫育用水」と呼び、現在までもその名称が残ります。紙面には用水路沿いの川や道などの地理的情報と、用水路に面した土地の所有者の名前と石高等の記載があり、用水路とそれを使用していた人々の管理台帳的な役割も果たしていたと考えられます。 制作年代については別紙に文政5年(1822年)の記載があります。中野開作の完成は寛政4年(1792年)であるが、絵図面内に文政4年(1821年)に完成した辰ノ口隧道が描かれているため、その年以降の作成と推定されます。 絵巻は水路の管理を行った地元に残り、現在は宇部市御撫育土地改良区(旧称 中野開作御撫育土地改良区)が所有しています。
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