真崎花崗岩の模式地は川崎町真崎であるが、主な分布地はその東部の小倉-田川構造線以東にある。犀川町中部から北方の行橋市南部市境の御所ケ岳山塊まで広く分布する。名高い御所ケ谷神籠石の石材はこの花崗岩である。主体は、粗粒、塊状の黒雲母花崗岩で、長さ二センチメートル前後の斑状カリ長石が目につく(写真12)。石英の目立つ部分もある。暗色包有岩は少ない。
真崎や小峠の真崎花崗岩に伴うペグマタイト岩脈は、閃ウラン鉱などの放射性鉱物を含み、有名である。
平尾花崗閃緑岩体との関係
市域南部での花崗岩類の分布状態を巨視的に見ると、平尾・真崎両岩体の間には、御所ケ岳山塊の北麓から矢留、覗山-長井丘陵へと続く、北東に延びた細長い三角形状の周防変成岩帯が隔壁(セプタ)として介在している(図1参照)。さらに、西の勝山町に入ると真崎岩体が周防変成岩-平尾花崗閃緑岩境界を斜めに切るようになる。こうした地質関係は、真崎花崗岩が平尾花崗閃緑岩と変成岩に、後から貫入したことを物語るものである。
偏光顕微鏡による観察
主成分鉱物は斜長石・石英・カリ長石・黒雲母で、わずかに白雲母を伴う。色指数が一〇以下の花崗岩である。
斜長石
長さ二~四ミリメートルで、平尾花崗閃緑岩のものよりは大形である。通常は、累帯構造・集片双晶を示し、しばしば結晶の内部に白雲母を包有する。
石英
常に弱い波動消光を呈する。これは、一つの石英粒を十字ニコルにして見たとき、真っ暗に消光する位置が少しずつずれている現象で、結晶のひずみに起因している。
カリ長石
ほかの鉱物の間を埋め、ときどき斑状の大形結晶として現れる。平尾花崗閃緑岩のものより微斜長石構造の発達がよく、結晶全体に広がっていることもある。ときに接触双晶が見られる。
黒雲母
不規則板状で、径が七~八ミリメートルに達することもある。多色性は濃赤褐色から淡緑黄色で、平尾花崗閃緑岩のものよりは褐色味が強い。写真13aの黒雲母に包有されたジルコン粒の周囲には黒い多色性ハローが見られる。この位置からステージを九〇度回転すると、写真13bのように、ハローの色が黒色から薄い褐色に変わる。したがって、これを多色性ハローという。この操作で、黒雲母の多色性も濃赤褐色から淡緑黄色に変わる。このハローは、黒雲母が放射性鉱物のジルコンやモナズ石の放射能におかされて変質した、いわば原子病にかかった部分である。