三 花崗岩の球状岩塊と真砂

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 花崗岩地域では、径一メートル内外あるいはそれ以上の、大きい丸い岩塊(以下球状岩塊と呼ぶ)をよく見かける。花崗岩の採石場や崖では、風化した真砂(まさ)の中に新鮮な球状岩塊が埋もれていたり(写真5)、崖から転がり出したり(写真14)している。また、北九州市ではまれに、これらが集まって岩海とよばれる特殊な地形をつくっている(藤井ほか、一九九五)。


写真14 平尾花崗閃緑岩の球状岩塊
画面外の右手にある真砂土の崖から転がり出した球状岩塊。上稗田

球状岩塊の生成

これは花崗岩の風化過程における一つの特徴的な産物である。花崗岩に普通に発達する、立方体~直方体に割れる三方向の節理面から内側に向かって風化が進み、ちょうど玉ねぎの皮をむくように外側から真砂化して崩れ、中心部に風化から免れた新鮮な球状岩塊(コアストーン・風化核などともいう)が残る。

 球状岩塊には、角張ったものから球状のものまでいろいろの丸さのものがある。その丸みの程度は、風化作用の強弱に左右されるものと考えられる。節理面から内部に進む風化作用は、側面より角の方をより急速に破壊するので、風化作用が進むほど角が丸くなり、また岩塊の大きさも小さくなっていくであろう。

節理

花崗岩の主要な割れ目は、①冷却時の収縮によって生成する普通の節理と②花崗岩体が隆起して地表に近づいた時、上部の岩盤の荷重が軽減されて生じる、ほぼ水平な割れ目(シーティング節理。写真15)である。


写真15 真崎花崗岩のシーティング節理
ほぼ水平で,広範囲に広がる割れ目。御所ケ谷神籠石遺跡付近

真砂の生成

主に地表からの空気や水が岩石の割れ目から浸透して、構成鉱物を変質・分解あるいは溶解する化学的風化作用によって花崗岩は真砂土化していく。わが国のように湿潤な気候条件下では、こうした風化が進みやすい。また、鉱物は種類によって風化作用に対する抵抗力が異なり、Caを多く含む斜長石や有色鉱物は風化されやすく、他方、石英はもっとも強い。そこで、真砂は比較的石英粒に富むようになる。

 平尾花崗閃緑岩を採石している幸ノ山採石場の崖では、こうした球状岩塊の生成過程を示すさまざまの段階を観察することができて興味深い(写真5)。