外来系土器という言葉は、一般の方にはなかなか理解しにくい。以前から使い続けられている系統の土器を在地系土器と呼ぶのに対し、京都平野以外の地域で作られ、それが持ちこまれたもの、あるいはその土器文化に影響を受けて作られた土器に対して、外来系土器という概念が用いられる(図30)。
例えば、「ラシャ」、「タバコ」などのように、もとは外国語だったものが、日本語の中に取り入れられた言葉を「外来語」というが、それに似ている。
最も代表的な外来系土器が高坏である。辻垣・長通遺跡から出土した後期前半の高坏は、大きく分けると、二つの種類がある。一つは、坏部先端が短く湾曲して立ち上がるもの(図30の3)、もう一つが、坏部が屈曲し直立するもの(同図8)である。前者が北部九州の在地系高坏であり、後者が瀬戸内から伝えられた系統の高坏である。弥生時代後期前半ではわずかに前者が残るものの、中頃以後その系統はまったく途絶えてしまう。
また、甕にも瀬戸内系の技法を持ったもの(同図5)が出現する。口縁は口唇がつまみ出され、平らに整形される。明瞭な「く」字形になることがなく、屈曲部が緩やかで内外面にケズリの技術を多用している。
最も外来系の要素を受け入れていないのが壺である。それでも、中にはごくわずかであるが、瀬戸内独特の壺も混ざっている。