装飾古墳

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 装飾古墳とは、石棺の一部や石室内部に彫刻をしたり彩色によって文様を描いている古墳である。全国で六〇〇基以上発見されており、そのうちの六割は九州に所在する。九州では熊本県が最も多く、二〇〇基余を数える。福岡県はそれに次いで多く一四〇基余が存在する。九州では五世紀中頃に出現し、終末は七世紀にまで及んでいるが、その間には技法的、内容的にも流行の変遷がみられる。
 九州の装飾古墳は、四つに分類することができ、I~Ⅳの順に変化する。
 
Ⅰ 石棺系装飾 石室内に安置した石棺の内外面に浮彫や線刻によって文様を描き、彩色する場合もある。
Ⅱ 石障系装飾 石室の四壁や屍床を区画する障壁に彫刻したり、彩色の文様を描いたもの。肥後型石室に多く、特に熊本県下で流行した。
Ⅲ 壁画系装飾 石室の壁面に彩色や線刻で、絵画や文様を描いたもの。九州各地で流行した。
Ⅳ 横穴系装飾 凝灰岩や砂岩の山腹や崖面を利用して横穴を掘り、その内部や入口外壁に彫刻や彩色による文様や絵画を描いている。